託される

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もうこうなったらしょうがない。 まさに、背に腹は代えられぬ、である。 「そこでいいです!お願いします!」 電話に向かって、お辞儀までする始末。 『…!本当!よかったわぁ! 一番上の階は、そのフロア全部が一部屋になっているから、広いし、たくさん部屋が分かれてるからね…! それに窓が大きくて見晴らしがいいわよ…!』 「そうなんですか!?」 ちょっとわくわくしてきた…! だって、一フロアで一部屋でしょ!? めちゃくちゃ広いじゃん!! しかも、最上階ってことは15階かぁ…! おぉ、めっちゃ楽しみ!! まぁ、見ていてもわかる通り、私、結構ゲンキンなんだよね…! 『じゃあ、入居日は前に言っていた通りで、お願いしますねぇ… 孫はちょっとぶっきらぼうだけんど、根は優しい子ですから… 入居日に紹介しますねぇ…!』 そう言われて、そっと電話を切った。 部屋の采配は自分のミスだから、と家賃はそのままでいいらしい。 予定していた部屋でも、安めの家賃だったのに、広い部屋になってもそのままなんて、なんてオトク…っ!! もとから能天気な私は、もはや同居人のことなど、頭になかった。
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