託される

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お互いにしばらく無言になること数分。 もしかしたら、数秒、だったかもしれないけど。 先に口を開いたのは、目の前にいる男の人だった。 「…………え、お前、ここに住む人?」 切れ長の鋭い目が私を捉えていて、私は少し竦み上がった。 「…え、と、はい……」 私の返事を聞くと、彼は呆れたように、心底嫌そうな顔で、はぁ、とため息をついた。 え、何、その態度。 てか、この人、誰? いろいろ言いたいことがあったが、それは彼の呟きによって書き消されることになった。 ―…女が同居人かよ、最悪…― 「え…?同居人…?」 同居人、て、どういうこと? え、まさか、この人が……―? 疑問を心の内に留めることなく、そのまま口に出すと、彼は、はぁ、と深いため息をつきながらも答えてくれた。 「この部屋で同居するって話、聞いてねぇのか?」 「いえ、それは聞いてます、けど…」 「…なら、話は早いな。 俺が、ばーちゃん…、あの管理人の孫で、 ……お前の同居人だ。」 「え、」 それって、つまり、そーゆーことですよね? 「え、えぇえぇ「遅くなってすみませんねぇ… あら、リュウト帰ってたの?」……」 私の驚きに見事かぶせてきた管理人さん。 孫のリュウト?さんも、あぁ、と返事を返している。 いや、私の存在感が無いなんて、別に気にしてないよ?うん。 「…コイツが、本当に俺の同居人なのか?」 「えぇ、そうよ…! とっても良い子だから、仲良くやって頂戴ね。」 ニコニコと笑うおばあちゃんに、さすがに文句が言えない様子。 「……あの…」 声をかけると、勢いよく二人とも振り返ってきた。 え、こわ。 どうしたの、とニコニコしている管理人さんに安心して、質問を告げる。 「…まさかとは思うんですけど、その、 リュウト?さんは、女性ですか…?」 彼は呆れた顔で、管理人さんはキョトンとした顔で、それぞれ私を見てきた。
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