託される

7/12
前へ
/47ページ
次へ
「…俺をどう見たら、女に見える?」 180㎝は優に越えている高身長、ゴツゴツと骨ばった体、長い指、鋭い目。 うん、確かにどこからどう見ても、男の人、である。 でも、同居って…!! 普通は同性としませんか!? 「ふふふ、佐倉さんたら… 冗談がお上手なのね…!」 くすくす、と笑いながら、管理人さんが書類を手渡してきた。 はは…っ、と空笑いをしながらそれを受けとる。 あながち、冗談じゃないというか、そうであってほしいと思った、というか… いや、こんなガタイして女の子って言われても、ちょっと困るけど… そんなことを考えているうちに、リュウトさんは自分の部屋へ戻っていった。 私はというと、とりあえず管理人さんからもらった書類に目を通したり、サインしたり。 いろいろな手続きが終わらせて落ち着いたのは、もう夕方と呼ぶには遅い時間帯だった。 新しい空気、場所、人への対応に、気づかない内に疲れていたみたいで。 リビングのソファーに座ると、ずるずると体は横に倒れ。 まもなく、私は眠りに堕ちていったのだった。 ――………… ぉ…ぃ…… ……ん…、なんか、めっちゃいいにおいする… ……ぉ…い… ……おなかすいた、けど、瞼を開ける気力が…… 「…おい…!起きろって…!」 ゆさゆさ、と体を揺すられて、んぅう…、と唸る。 そう、私、低血圧のせいか、寝起きが悪いんだよね… 「…ほら、唸ってないで起きろ、飯つくったぞ!」 …め…し…… めし…? 飯…っ!! ぱち、と目を開けると、ドアップでイケメンが写った。 「…っうわぁ…っ!?誰っ!?」 驚きでガバッと一気に起き上がると、目の前の相手も驚いている。 そしてほぼ同時に、彼は呆れた顔をした。 「…お前、もう忘れたのか? 俺は、お前の"同居人"です」 彼は、はぁ、とため息をつきながら、私を起こすために屈めたであろう腰を伸ばした。 同居人……。 あ…、そうだ、えっと、リュウトさん、だ。 それにしても、本当にイケメンだなぁ…
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

69人が本棚に入れています
本棚に追加