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「…俺をどう見たら、女に見える?」
180㎝は優に越えている高身長、ゴツゴツと骨ばった体、長い指、鋭い目。
うん、確かにどこからどう見ても、男の人、である。
でも、同居って…!!
普通は同性としませんか!?
「ふふふ、佐倉さんたら…
冗談がお上手なのね…!」
くすくす、と笑いながら、管理人さんが書類を手渡してきた。
はは…っ、と空笑いをしながらそれを受けとる。
あながち、冗談じゃないというか、そうであってほしいと思った、というか…
いや、こんなガタイして女の子って言われても、ちょっと困るけど…
そんなことを考えているうちに、リュウトさんは自分の部屋へ戻っていった。
私はというと、とりあえず管理人さんからもらった書類に目を通したり、サインしたり。
いろいろな手続きが終わらせて落ち着いたのは、もう夕方と呼ぶには遅い時間帯だった。
新しい空気、場所、人への対応に、気づかない内に疲れていたみたいで。
リビングのソファーに座ると、ずるずると体は横に倒れ。
まもなく、私は眠りに堕ちていったのだった。
――…………
ぉ…ぃ……
……ん…、なんか、めっちゃいいにおいする…
……ぉ…い…
……おなかすいた、けど、瞼を開ける気力が……
「…おい…!起きろって…!」
ゆさゆさ、と体を揺すられて、んぅう…、と唸る。
そう、私、低血圧のせいか、寝起きが悪いんだよね…
「…ほら、唸ってないで起きろ、飯つくったぞ!」
…め…し……
めし…?
飯…っ!!
ぱち、と目を開けると、ドアップでイケメンが写った。
「…っうわぁ…っ!?誰っ!?」
驚きでガバッと一気に起き上がると、目の前の相手も驚いている。
そしてほぼ同時に、彼は呆れた顔をした。
「…お前、もう忘れたのか?
俺は、お前の"同居人"です」
彼は、はぁ、とため息をつきながら、私を起こすために屈めたであろう腰を伸ばした。
同居人……。
あ…、そうだ、えっと、リュウトさん、だ。
それにしても、本当にイケメンだなぁ…
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