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寝ぼけ眼で、じぃっと彼を見上げていると。
「…"イケメン"は有り難く受け取っておくから、とりあえず飯な。」
早くテーブルに座れ、と言われ、頭をぽんぽんされたので、こくっと頷いて、ブランケットを引きずりながら、椅子に座る。
ん…ブランケット…?
もしかして、私が寝てたから掛けてくれたのかな…
なんとなく、椅子の上で体育座りをして、ブランケットを頭からかぶってくるまる。
……ってゆーか、さっき、リュウトさん、なんか言った。
なんて言ってたっけ…?
『"イケメン"は有り難く受け取っておくから、とりあえず飯な。』
やだ、リュウトさん、自分で"イケメン"とか言っちゃって…!
くすっと笑いかけて、はた、と気付く。
いや、違う…
『有り難く受け取っておく』
………これ、もしかして、私が口に出しちゃった…?
さっき、リュウトさんのこと、イケメンって思ってたし……
うわ…、それだったら、めちゃくちゃ恥ずかしい…っ!!
うぅ…、と唸りながら、膝に頭をぐりぐりと押しつけていると。
「…飯、できたぞ。」
すごくいいにおいのするお皿が、私の前にコトリ、と置かれた。
キッチンはカウンター式になっていて、テーブルがくっついている。
リュウトさんはカウンターから身を乗り出して、食器を並べてくれていた。
慌てて椅子から降りて、キッチンへ向かう。
「…ん?どうした、食べてていいぞ」
デザートなのか、器用にリンゴを皮を繋いだまま剥いている。
「いや、あの…っ、私、何も手伝ってないから…」
なんか手伝わせてください、と言うと、別にいいよ、という返事が返ってきた。
手伝うことはもうないのか、とあからさまにしょんぼりした私に気付いたのか、
「…じゃあ、飯食った後に皿洗うの手伝って」
それだけ言うと、またリンゴを剥き始めた。
私はまた椅子に座って、リュウトさんを待っていた。
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