身に纏う

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「ナイスバディって、そんな…… ちょっと背と胸が標準より大きいだけですよ……」 正直、私にとっては邪魔だ。コンプレックスと言っても過言ではない。 「どっちも標準よりかなり小さいあたしには羨ましいよ…」 「じっと人の胸見るのやめてくださいっ!」 胸を隠すポーズをすると、可愛らしいぷっくりした唇から、チッと舌打ちが出てきて驚く。 変な会話をしているうちに、担当のクラスの前までついてしまった。 ぴ、とまた固まった私をバシッと木野先生が叩いて、頑張れ、と背中を押してくれる。 ………正確には、たしっ、だけど。 「……ありがとう」 ございます、と言ったときにはすでに先生は自分の担当のクラスに入っていった。早っ。 ふぅ。 少し息を吐いて、力を抜く。 そして思いっきりドアを開けて。 「おはようございますっ!」 笑顔でクラスに足を踏み入れ――… かけた。 教壇に上がるには、どうやら一段あったらしく。 私の体は、ずてん、と前のめって倒れた。 私にはもちろん注目が集まり、周りはざわめき出した。             完。
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