身に纏う

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いや、"完"じゃないから!まだ終わってないからぁ!! だからっ、誰か…っ! この状況から助けてください…っ!! よろよろしながら立ち上がると、みんな一斉に私から目を反らした。 いや、バレてるから!思いっきり肩が震えてますからぁ!! 「もう……っ!! 笑いたいなら笑えばいいでしょっ!!?」 ついに、堪えきれずにそう叫ぶと、今度は一斉に笑いだした。 「ぶっ……!!!あっはは…っ!!!」 「先生、サイコーっ、ドジすぎんだろ!!!」 「あーもー、超ウケる…っ!!!先生かーわいーっ」 結論。意外と、みんなウェルカムモード。 笑い方も、嘲笑うような感じじゃなくて、からかうような感じだし。 ちょっと、いや、けっこうホッとしたかも。 「えー…、こほん。 先ほどから何度も失礼しました! 改めまして、あなた達の担任の佐倉美果です! よろしくお願いします!」 バッと勢い良く頭を下げたら、ぱらぱらと温かい拍手をもらった。 「えっと、そしたら、まず、自己紹介! 出席番号順に自己紹介してください」 恥ずかしいからか、えーやだーというブーイングが上がる。 「名前と、出身中学校と、あと何か一言! これだけでいいから、ね?」 ちなみに、この学校は進学校なので、けっこう頭の良い子が集まっている。 まぁ、それなら…、と頭も、物分かりも良いみんなだから妥協してくれたかと思ったら。 「じゃあ、センセーから自己紹介してくださーい」 窓際に座る、イケメンで、生意気そうなイケメンが(大事なことなので2回言いました)、私を挑戦する目で見てきた。 あれは……? 手元にあった出席簿を開いて調べる。 出席番号順に並ばせているので、何番目の机なのかを数える。 6番、早瀬海斗(ハヤセカイト)、か。 ま、頭が良い子が、性格が良いとは限らないしね。 「私はさっき自己紹介したでしょ?」 もう名前忘れちゃったの?という風に聞いてみた。 「でも、センセーは"一言"とか言ってないじゃーん」 なんかムカつくしゃべり方だな… まぁ、でも一理あるしなぁ…
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