69人が本棚に入れています
本棚に追加
いや、"完"じゃないから!まだ終わってないからぁ!!
だからっ、誰か…っ!
この状況から助けてください…っ!!
よろよろしながら立ち上がると、みんな一斉に私から目を反らした。
いや、バレてるから!思いっきり肩が震えてますからぁ!!
「もう……っ!!
笑いたいなら笑えばいいでしょっ!!?」
ついに、堪えきれずにそう叫ぶと、今度は一斉に笑いだした。
「ぶっ……!!!あっはは…っ!!!」
「先生、サイコーっ、ドジすぎんだろ!!!」
「あーもー、超ウケる…っ!!!先生かーわいーっ」
結論。意外と、みんなウェルカムモード。
笑い方も、嘲笑うような感じじゃなくて、からかうような感じだし。
ちょっと、いや、けっこうホッとしたかも。
「えー…、こほん。
先ほどから何度も失礼しました!
改めまして、あなた達の担任の佐倉美果です!
よろしくお願いします!」
バッと勢い良く頭を下げたら、ぱらぱらと温かい拍手をもらった。
「えっと、そしたら、まず、自己紹介!
出席番号順に自己紹介してください」
恥ずかしいからか、えーやだーというブーイングが上がる。
「名前と、出身中学校と、あと何か一言!
これだけでいいから、ね?」
ちなみに、この学校は進学校なので、けっこう頭の良い子が集まっている。
まぁ、それなら…、と頭も、物分かりも良いみんなだから妥協してくれたかと思ったら。
「じゃあ、センセーから自己紹介してくださーい」
窓際に座る、イケメンで、生意気そうなイケメンが(大事なことなので2回言いました)、私を挑戦する目で見てきた。
あれは……?
手元にあった出席簿を開いて調べる。
出席番号順に並ばせているので、何番目の机なのかを数える。
6番、早瀬海斗(ハヤセカイト)、か。
ま、頭が良い子が、性格が良いとは限らないしね。
「私はさっき自己紹介したでしょ?」
もう名前忘れちゃったの?という風に聞いてみた。
「でも、センセーは"一言"とか言ってないじゃーん」
なんかムカつくしゃべり方だな…
まぁ、でも一理あるしなぁ…
最初のコメントを投稿しよう!