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パーティの時刻は刻一刻と迫る。でも地下室というのも気になる。
そして何かひらめいたのか表情がパァと明るくなった。
突然メモを書き始めた。
「……よし、書けた。」
クロノはそのメモを机の上に置き、いかにも博士という感じの白衣を持ってそのまま出ていった。
広い廊下を誰にも見つからないように慎重に走り、召使用トイレの個室に入る。
(あの声、また聞けるかな…)
クロノは正直地下室とはどこのことなのか分からなかった。多分この城に地下室があるのだろうが、場所も行き方も検討もつかなかった。
クロノは心の中で“あの声”を呼ぶ。
すると
『…んあ?どうした?ていうかそっちから話しかけられるとは、すごいねぇ~。』
「!」
また声が違う。陽気なところはさっきの声と変わらないが、声が明らかに低い。
『あ、分かった。お前地下室何処か分かってないんだろ。』
クロノはひとまず繋がったことに吐息を一つついたあと、尋ねた。
「うん。というか地下室があることすら知らなかった…」
『やっぱな。ここ200年くらい開いてないぜ。この地下室。誰かの代からかこの地下室のこと伝えてないんじゃねえの?』
その声は呆れたように言う。
「え?じゃあ君は200年前からそこにいるの?来い来いってずっと言ってるけど。」
『いいや。俺はここ200年“開いてない”ってだけ言ったんだ。もっと前からいる。はぁ……ったく、なんでこんなとこに置かれたんだか…』
クロノは眉寄せた
「置かれた?」
『ああ。とにかく早く来いって。道なら俺が説明してやる。』
「あ、うん!」
クロノは何処か楽しそうにトイレを飛び出し、道を聞く。
「で?どこ?」
『とりあえず降りられるとこまで降りろ。』
「うん。」
クロノは人に見つからないように隠れながら地下室に向かう。その道中“声”に問う。
「自力で出られないの?」
『無理だから頼むんじゃねーか。バーカ』
「じゃあ僕にやったみたいにこの声で助けを求めればいいんじゃないの?」
『片っ端から話しかけても聞こえてね~みたいで…でもなぜかお前は聞こえたみたいだな。』
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