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「完璧、金ヅルじゃん」
毛先を指にくるくる巻きつけるというなんとも女の子らしい仕草をしながら、皐月は俺と実里に言った。
ちなみに聞いたところによると、昨日は誕生日プレゼント以外(ちょっとした食事とか彼女の欲しがった物)は俊希が払ったらしい。
さすがに俺も…これは何か違うなと思ってきた。
「そもそもだけどさ。絶対俊希があの女に惚れてるんだよねー」
「え?そうなの?」
「話聞いてた限りだけどね。彼氏、って言う度悲しそうにしてたし」
さすが。俺が気付いてやれなかったとこまで見てた。
そこで、今まで黙っていた実里が、冷たい目をして問うてきた。
「…それで?それに気付いた俺たちは何をしてやるわけ?俊希にあの女と会うな、とでも?そもそも付き合ってるってわけでもないんだし、俺たちが忠告するのもおかしいだろ。こういうときは、放っておくのが1番だと思うけど?」
この突き放したような冷たい言い草に、皐月はカチン、ときたのか、強い口調で言い返した。
「何?俊希のこと心配じゃないの?実里は友達が悪い女に引っかかってるのに助けてあげないわけ!?」
「別に引っかかってるわけじゃねぇだろ。過剰に心配しすぎなんだよ。…俺は、何にでもズカズカと踏み込んで引っ掻き回すのが友達だとは思ってない」
「…っ、もういいよ。ボクは、踏み込んででも良い方向に導くのが友達だと思うから」
そう言って実里を一睨みして、何処かへ駆けていった。
教室の中はザワザワと騒がしかったが、今の俺には、それが虚しく感じた。
何だよこの空気ぃぃぃぃい!
え、マジやめて、泣くよ?俺、結構メンタル弱いんだからね?
「裕也」
「えっ、あっ、は、はいっ?」
思わず声が裏返った。
「…俺、俊希が心配じゃないわけじゃないけど、だからって、いろいろ勝手に決めつけるのは良くないことだと思う。全て状況を把握した上で、どうするか考えるのが1番だと思ったけど…間違ってんのかな」
…………。
実里はいつも冷静だ。
後先のこと考えて、更には俊希のことを想っての判断。
間違ってないとは思う。
…でも、それじゃ遅いとも思う。
確かに俊希が彼女に惚れてるか実際確認とってないし、彼女が本当に悪女なのかも分からない。
でも、何かあってからじゃ遅い。
…どうすればいいんだろう…。
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