第1章

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「何でお前ら俺に嫌がらせばっかすんの何なの」 「面白いから」 ポッキーを食べ終わったらしい実里は、次にキャンディーを取り出して口に含んだ。 実里は、いつメンの中では1番かっこいいという羨ましいポジションにいる奴だ。ラブレターとか貰ったりしてるの見たし。 サラサラな黒髪に切れ長の目。いつも冷静でクールなとこもモテる理由だろうけど…。 こいつは凄く甘い物が好きだ。糖尿病になるんじゃないかと心配になるくらい。 少しくらいなら分かるけど、財布の中身八割くらいはスイーツに消えてるらしい。 昼ご飯がケーキだったときもある。あれはさすがに引いた。 彼女がいた時もあったけど、デートもせず甘い物にしか金を使わないことが理由でフられたらしい。 「…………………」 実里の言ったことにコクコクと頷いている俊希。 こいつはこいつでやっかいだったりする。 だってほとんど喋らないんだもん!前髪長くて表情わかんねぇしさ! 制服の着方もだらしないし、いかにも適当。ザ、適当。 …まぁ、1番いい奴なんだけどさぁ……。 机に書いてたのも、他の2人はただの罵倒だろうけど、こいつに限っては俺への文句だろう。 「裕也がいいリアクションするのが悪いんだよぉ~」 クスクスと萌え袖化している手で口元を隠しながら笑う皐月。 髪も雰囲気もふわふわしていて、顔立ちも女の子らしく、背丈も小さめ。というか凄く可愛い。 そのため女の子と間違えられてナンパされたりも少なくない。 見た目は、見た目だけは天使みたいだが、中身は悪魔。 ナンパしてきた奴に女の子のフリしていろいろ奢らせ、最終的に男だとバラす、ということを毎回やっているらしい。 腹黒いんだよ…とても…。 「お前らふざけんなよ…消せ」 「面倒くさい」 「…………(コクコク」 「裕也頑張れ~♪」 「しばくぞ消せ」 チッ、チッ、チッ、と三つも舌打ちが聞こえてきた。 俺、今回に限ってはまったく悪くないと思うんだが…。 というか俊希まで舌打ち? のろのろと消し始める三人。 ……これ、絶対授業までに間に合わねぇ……。
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