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「ねぇ、どっか寄ってくー?」
「クレープ食いたい」
皐月の問いかけに、実里が即座に回答する。
別に俺はいいんだが…。
チラッと俊希の方を見る。
何も言わないが、こいつ用事があるんじゃねーの?
「俊希。お前は?」
用があるんだったら無理に付き合わすわけにもいかないし、俊希にも話を振ってみた。
「……俺。用、あるから。帰る」
やっぱりあるのねー。
つか、自分から言えよな。
まったく世話がかかる奴だぜ。
「そーなんだ?じゃぁ、バイバイ俊希~」
「…………………」
黙って手を振って立ち去って行った。
俊希の後ろ姿を見送りながら、皐月が「さて」と仕切り直した。
「俊希の後を追おう」
ほら来た。絶対言うと思った。
俺も何度かつけられてた覚えあるし。しかもその時母親との買い物の最中だった。案外親とは仲が良いから、その様子を見てしばらくは「マザコン」とか呼ばれてた。
「俊希の後を追うのもいいけど…とりあえずクレープ食べたい」
「買ってる間に見失うでしょ!大丈夫、後で裕也が奢るってさ」
「マジで?俺あのバナナ&ストロベリーチョコスペシャルな」
「ボクストロベリーカスタードがいいなぁ~」
「何で俺が買うんだよ!つか、さりげなく皐月まで?奢らねーよ?」
「ケチ」「ケチ」
「てめーらふざけんなよ…」
本当に一瞬殺意が芽生えた。
奢るのが本気で嫌ってわけじゃないけど、理不尽過ぎんだろ…!
「とにかく俊希を追うよ!すでに見失いそうだし!」
見てみると、随分と遠くの方に姿が見えた。
…まぁ、たまにはいいか。尾行する側ってのも。
そうだよ、一回くらい罰は当たらないさ。うん。
「…誰か待ってんのかな」
「そーなんじゃない?時計をチラチラ見てるし」
俊希が公園の時計台の辺りに立ち止まって十数分。
皐月の言う通り、時計を見たりソワソワしたりしているため、人と待ち合わせをしているらしい。
にしても…。
「何で俺らは木の枝持って草木の中に隠れてんの?」
「え、定番でしょ?この隠れ方」
「そりゃアニメとかではな」
腹黒かと思えばこういうとこもあるからなぁ…。
俺が皐月を微妙な目で見ていると、実里が「あ」と声を出した。
「待ってた相手、来たみたい」
見ると、どうやら女の子と待ち合わせをしていたらしい。
つか、すげ美人。モデルみたい。
…え、何、どうゆう関係?
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