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「神城さん!」
「神城さーん!!」
「神城さん、神城さ~ん!!」
…………。
私が恋人となった今。
自分のものになったからと安心したのだろうか。
悠斗は自らが目指す目標だと言い憧れていた先輩。
神城 雪を追いかけている。
今、現在。
彼の心の中心や行動の全てを占めているのは彼自身でもなく私でもなく。
『神城 雪』
彼の人物でしかなかったのだから。
目指す目標となる憧れる人がいるのは……うん。
いい事だと思う。
そういった気持ちは私も、理解出来なくはないし微笑ましく応援したいとも思う。
そう、思うのだが。
いち彼女として考えた時には正直、複雑な気持ちだった。
ある程度であれば問題ない……が。
それが余りに頻度過ぎると私ってなんだろうだとか。
やっぱ、あんまり好かれてないのかなーだとか。
くだらない事を考えたり、虚しく思ったりもしてしまうもので。
「ねぇ」
「あ?」
「……えっと、私達って一応、彼氏彼女なんだよね?」
「なっ!?何なんだよ、今更」
言わなくたって解んだろとばかりにチラリと視線を向けながらも、直ぐにプイっと外方を見る悠斗に思わず「そうだよねと」と苦笑が漏れる。
ぶっちゃけ悠斗は「咲羅」って私の名前を呼んではくれてるけれど、私の彼の呼び方は相変わらずの。
「宮城くん」
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