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その日。
私は異様なまでの身体の、怠さと今にも目を閉じてしまいたくなる程の眠気に、襲われていた。
「……あー」
やっべぇ。
なんかメチャクチャ気持ち悪い。
サボっちゃおうかな。
「……ん」
サボろ。
決めるや否や私はクルリと踵を返し教室とは反対に、位置する階段を目指した。
ちなみに、その階段。
上っていくと絶好の寛ぎスポット兼サボり場所。
屋上がある。
外気にあたれば身体も冷えるし気分も変わるかもしれない。
「……はぁ……」
早く外の空気が吸いたい。
そう思い足早に屋上を目指し階段を上っていった私。
……だったのだが。
「……やぁ」
…………。
……うわぁ。
やっべー。
なんか、すっごい先客居たんですけどー。
私の目の前に現れたのは。
「ボクの目の前で堂々と、サボリとは」
「…………」
「随分といい度胸してるね……キミ」
「……三神、先輩」
「!へぇ、ボクのこと知ってるの?」
「……有名ですから」
威圧感たっぷりな様子で、私の目の前に現れたの、この人物。
三神恭夜。
彼は、この学園の理事の孫であり生徒会長でもある。
眉目秀麗、文武両道。
あげくプライベートでは、祖父だけでなく家族まで、有名な人物という素晴らしい家系なんだとか。
父親はどこだかの、名のある議院さん。
母親は大地主の娘で病院を経営している女医だったっけ。
まぁ……あくまで噂、だけどね。
ちなみに本人の三神先輩自身、生徒会長のくせに何故か不良の間で名前が通ったヤンチャな方だという話しだ。
「……有名?」
「……はい」
「どんな風に?」
……え。
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