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「あー……そうですね……あくまで私は聞いただけですけど……」
とりあえず。
「ドSで冷酷な『氷王子』性格さえ抜けば完璧だと、騒がれている、とんでもない美形さん」
「…………」
「権力故に生徒会室を自室にし好き放題やり放題の、『暴君』で……とかなんとか色々……ですかね
「……なにソレ」
私の話しを聞いて不機嫌そうに眉根を寄せる『氷王子』三神先輩。
うわー明らかに機嫌悪くなってきてるよねコレ。
参ったなぁ……。
極度の面倒くさがりの私がこういった人と関わることなんかないと思ってたんだけど……運がないというかなんというか……。
「すみません、とりあえず道間違えただけなんで戻りります」
うん。
逃げるが勝ちだよね。
そう思った私は、さっさと去ろうと、くるりと後ろを向き元きた道を戻……。
「待ちなよ」
……ろうとしたんだけど。
「そんな言い訳が通じるとでも?」
「あははー思ってないですねー」
チッ……失敗したか。
なんか手首掴んで振り向かせられましたです。
このヤロウ。
「……あの」
「なに」
「逃げないんで離してくれませんか?」
結構、強く捕まれてるんで痛いのですよ。
「……断る」
……は?
「……って言ったら?」
「…………」
あははははー。
「困りますねー」
「……この状況で薄ら笑いとか……本当キミ。イイ度胸してるよ」
笑っていない目のまま口元だけ歪める私とムスッとしながらも若干楽しそうな、三神先輩。
随分と対称的だなぁ。
うん。
「で」
「?」
「逃げないの?」
「…………」
えーと。
「この状況で逃げれるとでも?」
「無理だね」
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