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それでも私はお腹の子のために、保身を選ばざるを得ない。
弁護の言葉を探しているうちに、濡れ衣を着せられたままの首謀者は、ソファーから立ち上がり、ドアへ向けて歩き出してしまった。
止めるべきか、行かせるべきか。
碧さんの言葉通り、車に何か細工をされていたとしたら、事故は免れない。
運が悪ければ、死んでしまうかもしれない。
かといってそれを恐れて、このまま留まらせても、遅効性の毒のように、肝炎ウィルスがウノさんの体を蝕んでいく。
決断できない私は、ただ黙って背中を見送るしかなかった。
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