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音もなくドアが閉められると、部屋中に後味の悪い空気が充満した。
母親を殺された碧さんの恨み。
恋人を殺されたウノさんの恨み。
どちらもきっと、一筋縄にはいかない。
私が出しゃばって、何か余計な事を口走ってしまったら、ゼロさんにまで火の粉が飛ぶのは必至だ。
卑怯で残酷でも、ウノさんに全てなすりつけて、時が来るのを待つしかない。
私が氷室家と縁を切る、その時を。
じっと押し黙る私を気にも留めず、碧さんは短く息をついて、ソファーに身を沈めた。
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