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よく考えれば、自分と父親の血液バンク、臓器ストックであるクローンを、怨恨で死に追いやるほど、碧さんは浅はかではない。
しかし私はもう、夫の言葉を素直に受け取れなくなってしまっている。
「ごめんなさい、碧さん……。
もう、一人にして」
「悪かったね、怖い思いをさせて。
けど、花純と花純の子を守れて、良かった。
後の事は気にしないで、心穏やかに過ごしてね」
軽いキスをよこした碧さんが、静かに部屋を去っていった。
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