987人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
暗めに設定された間接照明の光を反射しながら、仄暗い深紅が、不気味にゆらゆらと揺れる。
「……今日、温室で何があった、ゼロ?」
尋ねる碧さんの声に感情はなく、その顔も同様。
対してゼロさんはタブレットを取り出しもせず、真っ直ぐに碧さんを見つめ返している。
「鳥が一羽、怪我をした。
花純の背中にも、打撲痕がある。
両方とも、温室管理の担当である、お前の仕業だね?」
もちろん、ゼロさんは答えられない。
代わりに私が事情を説明すべき場面だろうけれど、事実を打ち明けてしまったら、余計な事にまで言及しなければいけなくなる。
必然的に、嘘を吐かざるを得ない。
最初のコメントを投稿しよう!