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恐る恐る窓辺に近付いて、カーテンを掴もうと手を伸ばした瞬間、今度は肩から下げたバッグが振動した。
「ひっ!?
やだ、脅かさないでよ!」
おかしな悲鳴が出てしまった恥ずかしさから、私は八つ当たり気味にバッグをあさり、震え続ける携帯を取り出す。
画面に浮かんでいるのは、碧さんの名前。
ただし普通の着信ではない。
アプリからのビデオ通話着信だ。
弾かれるように、私の奥底に封印した、仄暗い記憶が蘇る。
碧さんとの結婚前夜、今と同じような着信があって、信じられないような要求をされた。
”いつも僕がするように────自分で触ってごらん”。
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