Phantom of my sweet

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何だかんだと面倒見がいい碧さんは、いつも私を気に掛けてくれる。 学会で連日忙しい中、初日、二日目と、きちんと連絡をくれた。 スケジュールが空いているタイミングを掴めないため、こちらからの電話やメールは、遠慮していた。 けれど話をする事自体、迷惑ではなさそうだった。 たまにはこちらから電話して、驚かせてみよう。 思い立った私は、緩んだ頬でワクワクを噛みしめながら、碧さんの携帯を呼び出す。 長いコールの後。 『もしもし? どうかした、花純?』 優しいテノールが、じんと脊椎に染み渡った。
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