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妻がそんなわがままを言うはずがないと分かっていながら、甘やかな言葉をさらりと吐く夫。
それでも単純な私の心は、がっちりと掴まれてしまう。
「行ってらっしゃい、碧さん……」
クラウンを吐き出した自動門扉が、元通りに閉まるのを見届けてから、私は気合いを入れ直した。
さて、ここからは脳内ゲーム変換だ。
今から始まるのは、氷室家のお屋敷全体を使った、鬼ごっこ。
鬼はもちろん、ゼロさん。
誰かがお屋敷に帰ってくるまで続く。
もし捕まれば、怖い罰ゲームが待っている。
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