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ゼロさんに無理矢理された事や、義母の息子への歪んだ愛なんて、心の中にしまっておけばいい。
臭い物に蓋。
これがきっと、幸せになるためのルールだ。
自室に戻って、仲良しの友達にお誘いの電話を掛けながら、私はふと窓の外に目を向けた。
広い庭にはほとんど樹木が植えられていないものの、少しばかりの落ち葉や、枯れた芝などが広がっていて、全体的にセピア色に染まっている。
その中に落ちた、一滴の墨。
黒いコートと髪が、ゆらゆら揺れている。
(見てるだけなら、害のない綺麗な男の人なんだけどな……)
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