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ゼロさんに、碧さんの本当の目的を打ち明けた方がいいのか、黙っているべきか。
悩んでいるうちに、それは起こった。
本を読むという名目で、時間を潰しにやって来た図書館。
バッグの中の携帯が震えたため、私は静かに席を立ち、外に出た。
乾いた空気が体を冷たく刺すけれど、どうせそんなに長電話になるはずがないと、コートは持って来なかった。
着信の相手が、碧さんだったから。
「もしもし、どうしたの?」
『花純、大変な事になったよ。
アルテミスに向かう母の乗った車が、事故に遭ったんだ』
思いがけない報告に、ガツンと頭を殴られたような衝撃が走る。
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