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車内には、ハイブリッドカーならではの静かなエンジン音と、沈黙が充満している。
ゼロさんと違って、ウノさんは本当に声帯を取り除かれているから、無言なのは当然だ。
この静けさが、かえって私を落ち着かない気持ちにさせる。
心地悪い空気を変えるために、何か話し掛けようかと考えても、どうにも適当な話題が見つからない。
ちらりと確認したルームミラーに、ウノさんのどことなく沈んだ表情が映っている。
最愛の人を失った悲しみから立ち直るのには、まだまだ時間を要しそうだ。
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