Secret sins #3

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あまりに予想外の出来事に、思考が止まってしまう。 「まったく! 氷室本家の使用人のくせに、“ごめんなさい”ですって? 作法はおろか、口の利き方すらなってないじゃない! 信じられないわ!」 神経質そうな金切り声に、リビングとダイニングの間仕切りを取り払った広い空間が、しんと静まり返る。 氷室家の嫁として、懸命におもてなししていたつもりなのに。 披露宴でも顔を合わせたはずなのに。 どうやら私は、ここにいる多くの人に、使用人として認識されていたようだ。
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