第1章

3/24

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
一時間に一回程度、 ちらりと未来時計に目を向ける程度であった。 しかし、 今夜に限ってはいつもと違った夜になりそうだった。 どうも一週間くらい前から未来時計の時間が少しずつずれ始めていて、 そのことをここの雇い主に話をしたところ、 今晩未来時計の整備技師が ここへ修理にやって来ることになっていた。 雇い主の話によると、 未来時計が早く進みすぎると今起こっている 社会とのバランスに歪みが生じるとのことだ。 私はこの仕事を始める前の最終面接の時に一度だけ「歪みって、 例えばどんな 風なことが起こるのですか?」と聞いたことがあったが、 その時の答えは 曖昧なもので、 例えば集中豪雨が発生したり、 晴れているのに突然空から ヒョウが降ってきたり、 長年研究を続けていた科学者が突然、 超自然界の謎を 解明したりと、 どの説明もとってつけたような説明だった。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加