第1章

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むしろよく気がついたと褒めてもらえたくらいだったのだ。 そうこうしていると、 外から扉をトントンとノックする音が聞こえた。 私はようやくメンテナンスの技師がやってきたのだと急いで扉へと向かった。 扉を開けると、 そこには六十歳に近い小太りの中年男性が額の汗を手元のタオルで 拭きながら立っていた。 顔には丸い眼鏡と口ひげを生やし、 そして、 手には重たそうな工具箱をぶら下げていた。 私は「お待ちしていました。 未来時計のメンテナンスの件ですよね。 」と語りかけた。 男は「いかにも。 」と少し偉そうに返事をすると、 挨拶もそこそこに未来時計のある 部屋の奥へと慣れた様子で進んでいった。
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