プロローグ

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プロローグ

 寺西慎也は腕時計で時間を確めて辺りを見回した。  午前7時ジャストだ。  慎也は保険会社に勤めている。  大阪本社ビルの前に観光バスが一台停車している。  今日から2日間、慎也の所属する保険金部の研修を行う。  研修とは名目で、実際は慰安旅行だ。1泊2日で四国の道後温泉で懇親会を行う。  慎也はその幹事なのだ。  出世にも金儲けにもあまり興味のない慎也だから幹事など面倒臭い。  だが、入社順に持ち回りなので避けることもできない。   出発時間は8時だが、大阪から出発する全員を迎えるために7時からスタンバイすることにした。面倒臭いことは大嫌いだが無責任なことはできない性格だ。
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