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自動ドアを出ると、夏の日差しが肌をじりじりと焼く。
夫の癌が発見された頃は、まだ日差しも穏やかで、あちらこちらに桜が咲いていた。
医師から宣告を受けた時。
夫本人も私も、頭が真っ白になって。
家に帰ってから改めて恐怖が込み上げて、二人で抱き合って泣いた。
間もなく夫は会社に休職願いを出し、癌の治療に専念する事になった。
手術で悪い所を全て取り除いただけでは、治療は終わらない。
先進医療を行える施設が近くにないため、放射線と抗ガン剤で、ガン細胞を根絶させる治療が始まり。
夫はみるみる痩せ細っていった。
癌になる前は中年太りでぷよぷよしていたのに。
診断を受けた頃には、標準体型。
放射線・抗ガン剤治療を進めていくうち、そこからさらに5キロも落ちた。
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