第1章

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「休みの日なのにナニ入ってんノ」 助手席に座るカオルが膝に乗せているスクールバッグが重たげで、エンジンをかけながら問いかける。 「あ、お母さんに『采女たちとテスト勉強する』って言ってきたので勉強道具です。 それと………」 ファスナーを開けて中身をごそごそして。 「じゃん!!」 満面の笑みで取り出した、一冊の雑誌。 「おまっ───、それ!!!」 「え?ああ、らしくないですか? あんまりこういうの読まないんですけど、沙和ちゃんがオススメって…………」 「没収!!!」 「ええっ!?なんで!?」 「テスト前にこんなもん読まなくてよろしいっ!!」 抱き込んで防御しようとするカオルから勢いよく雑誌を抜き取る。 「い、息抜きに読もうと思ったのにー!!」 アホか!! こんなん読んで息なんか抜けるか!!! カオルの言葉を無視して後部座席に投げ捨てる。 するりと横滑りした雑誌の表紙のモデルと目が合い、心の中で毒づいた。 また会うとはな。 本日二度目。 『イマドキ!JKの恋愛リアル』 の文字を忌々しく睨み付けた。 「なんで怒ってるんですか?」 「怒ってまセン!」 「………怒ってるし」
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