第1章

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「ご忠告ドーモ。 敵に塩送るなんて、カオルの言う通りホント、いい人ですネー」 『ムッかつくー!! あんた一度地獄に落ちろ!!!』 「それ賛成。 機会があれば、是非とも地獄生物について調査してみたいもんだ」 ふん、鼻を鳴らしてタバコを味わう。 昔からよく言ったもんだ。 毒を喰らわば皿まで。 一度カマしたはったり、最後まで。 『あーもーっ! やってらんねー!!じゃあなっ!!』 「───柴田」 『なんだよ』 「助けてやって。 これからも、カオルのこと」 我ながら卑怯な布石の置き方だと思う。 数秒の、間。 口の端にタバコを挟んで返事を待つ。 『そんなこと………あんたに言われなくても分かってるよ。 羽村は──── 大事な友達だから』 掠れた、だけど力強い柴田の声に胸がつまる。 「………頼りにしてる」 『ククッ、ホント、やなヤツ』 喉を鳴らして呟いたあと、電話は切れた。
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