家族③

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 俺は拳を握ってジッと李煌さんを見据えた。 ――今度は逃がさない。  俺の強い視線に李煌さんが顔色を変えた。 「…大河…くん?」 「俺が前言った事は、冗談とかじゃないから」 「え……?」 「このまま何もなかったことにされたくないから、一応言っておくけど…。俺は李煌さんのことが好きだから、兄として見ることはできないし、したくない」  息を飲む李煌さんの顔が真っ赤で、少しニヤケたくなった。  俺の言葉で照れてくれているなら、やっぱり嬉しい。 「それと、さっきの質問だけど。俺の部屋を出て行く時の李煌さん、全然笑えてなかったよ。俺には複雑そうな顔に見えたから、誤解してなかったとしても嫌な気持ちになったんじゃないかって、俺は少し期待した」 「……」 「違う?」  グッと固唾をのむ李煌さんに、俺は確信を得た。  しかし、ここで強引に攻めることはしない。  出来るだけ時間をかけて、 李煌さんの気持ちを引き出したい。 (ここでしくじったら、前と同じだからな)  俺はジッと李煌さんが喋ってくれるのを待った。 「……一つ、訊いてもいいかな」  李煌さんの震えた声が届いた。 「うん。いいよ」 「え、っと……。て、手紙……」 「手紙?」 「…うんっ。テスト前に、…ラブレター、貰ったって言ってたじゃない……?」  尻すぼみになる言葉を俺は零さず拾って行く。 「うん。貰った」 「……そ、れで……」  続きを紡ぐのが気まずいのか、下唇を噛む李煌さん。
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