A clock stopped

教会の少女

ルキを見るなり少女は大きな目をさらに大きく見開いた。

「…ノア？……ノアなの？…」

少女はルキに飛びついた。

「えっ？」
「ノア、帰って来てくれたのね！ 私、ノアが死んじゃったんだと思ってたのよ…！ 寂しかったんだから。」

少女はポロポロと大粒の涙を流して泣いた。

「ノアって誰？」

ルキが少女に問いかけると、少女は静かに微笑んだ。

「ノアは、あなたじゃない。 もしかして、私のことも忘れちゃったの？」

ルキの記憶には、目の前の少女と遊んだり、喋ったり、まして出会った覚えすらない。
まず、ルキは自分の名前じゃない名前で呼ばれているので少女は、自分と『ノア』と言う人を見間違えたんだと思った。