一章

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「空いてる車がこれしかなかったんだよ」 赤石が車の波に乗る。案内標識を見れば桃磨の家とは真逆にパトカーは走る。 車線を替えた赤石はそのまま聖岳(ひじり)へと車体を滑らせた。 聖岳といえば、ロッジで有名で夏になるとバーベキュー大会や花火大会が盛んに行われる。 「聖岳で殺人ですか?」 交差点の信号待ち、右折のタイミングを計る赤石に問いかける。 「有名な三つのロッジで刺殺事件」 「三つ、百舌鳥、雲雀、鵺、ですか?」 「正解。流石」 車体を発車させて国道に乗る。街の賑やかな景色は次第に成りを潜めた。
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