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公園をあとにした後、僕はまたエレベーターに乗って部屋のある四階まで行った。
階段の方で、オカえりー!と声がしたので、とりあえず会釈した。
部屋に戻ると、信也さんはゲームをして、雫さんは編み物をしていた。
秋さん、悪魔さんはいなかった。
僕は自分のベッドに座り、ボーッと今日のことを考えていた。
何をしてもいい施設。
素敵な環境だ。
夢のようだ。
でもまだ信じられない自分がいる。
お母さんはお父さんと離婚した後、新しいお父さんを作った。
僕はその人が怖くて仕方なかった。
物を投げつけられるし、酷い時は首を絞められ遊ばれた。
腹を何度も何度も殴られ、自分でもあるはずのものが場所を変えているのがわかっていた。
でもお母さんはなにもしなかった。
僕の目の前でsexしたり、新しいお父さんと二人だけで旅行にいったり、その間僕は何も口にせず三日も四日も耐えた。
そんなときは思いもしなかったが、あれは虐待だったんだ。
ここには800人の、僕と同じ思いをした人たちがいる。
痛みを、傷みを分かち合えるんだ。
それだけでもう充分だった。
ボスっと、ベッドに身を預けた。
これが幸せなんだ…本当の幸せなんだ。
嬉しい。
もうビクビクしなくていいんだ。
嬉しさの余り、うとうとしてきた。
そのまま目を閉じた。
そして眠りについたのだった。
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