始まり

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とある病院。 「先生!呼吸が低下しています!」 ガラガラと音がするのは、担架をもうスピードで走り続けているからだ。 「これは酷い…、熱湯掛けられて臓器を殴られ破損しているのか…」 「大丈夫でしょうか?!」 「…まぁ、手をつくそう…」 担架に乗せられているのは小学生くらいだろうか。 意識はもうない。 あとは本人の生きたいという願いだけだった。 すぐにオペは始まり、腹を開いて臓器の確認をする。 かなりぐちゃぐちゃだ。 助かる可能性は高いが、頭から掛けられたであろう頭の火傷の方が酷かった。 肉は熔けて爛れている。 救いなのは、どんな顔をしているのかがわかる位だ。 「…よし」 オペは終わったらしい。 「暫くは入院だね…」 「そうですね…」 オペを手伝った看護士が言う。 「先生…この子はやはり…」 「そうだね…でも彼の幸せを願うのなら仕方ない」 「私、空きを調べてきます!」 「いや、いいよ」 先生は真面目な顔をしながらも、口調は軽くなった。 「彼処は誰だって受け入れる、あの広さだ、大丈夫だろうよ」 「先生…」 「さて、早く治れば、あとは楽園だ」 そう、あの場所に。
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