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「え?!マジでこの場所知らないの?」
起きたときに覗きこんだ少年が言った。
「ここはなー」
「少年BOX」
「少年…BOX?」
僕は知らない。
「つまりだ」
「虐待された少年を保護し、普通の生活を送れる場所さ」
虐待?
ならなんで僕は…
「お前自覚ないみたいだけど、虐待されてたんだよ、病院に運ばれて、この少年BOXに入れられたんだ」
え?え?
「ここはなー、天国だぞ!親は逮捕されるから二度と会うことはないし、好きな事を好きなだけやれるんだ!」
「おいおい、信也、そんな一気に言ったら困るだろ」
背の低い少年が突っ込んだ。
「だって本当のことだろ?可哀想な少年を守る場所だって」
「この子はまだ実感がわいていないんだよ」
僕はあからさまにドギマギした、ここは平和?もう殴られたりしないってこと?
でもこんな場所はじめて知った、施設みたいな、綺麗なところだ。
周りを見渡すと、包帯を巻かれた少年、小さい少年、さっきからペラペラ話す少年…いや、中学生くらいだろうか?彼は更に説明したくて堪らないようだった。
そして、今部屋の中に入ってきた少年。
「なんだ、もう起きたのか、この場所について、信也はもう話したのか?」
「バッチリ!」
信也と呼ばれた少年は親指を立ててニッコリ笑った。
「いやいや…」
そしてまた小さい少年が突っ込んだ。
僕はまだ混乱中だ。
確かにあれは虐待だったのかも知れない…、殴られて蹴られ、首を絞められて熱湯を…
それまでしか記憶にない。
あれからどうなったんだろう。
「まぁ、いい。お前名前は?」
名前…。
「僕、名前ないです」
「そうか」
さっきから顔色一つ変えない、むしろ機嫌が悪そうな顔をしていた。
「俺は悪魔、さっきから五月蝿いのが信也、包帯は雫、小さいのはお前と同じ名前がなかったから、俺たちが秋と名付けた」
そうなのか、名前がない子もいるのか。
「んー、名前は信也に任せるよ、俺は次に行かなきゃいけない所があるからな」
そう言って、悪魔と名のった少年は入ってきたところからまた出ていった。
「いえーい!名前名前!何か理想な名前ある?ないなら俺が勝手に決めるね~」
僕は黙っていた。
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