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「おー!何でもOKだぜ!」
信也が言った後、続けて秋が話しかける。
「ここの設備は凄いからね、勉強したければ、専属の教師がたくさんいるし、こんな風にのんびりしてもいし、何か趣味を持ちたいならサークルみたいのもあるし、漫画も雑誌も新聞もある。気付いてるかもしれないけど、大体一部屋4、5人が暮らしてるよ。テレビもゲームもし放題。外で遊びたいならそれも自由。」
僕は真剣に聞いた。
学校みたいなものなのかもしれないと思っていたけど、どうやら違うらしい。
「どのくらいの人が生活してるの?」
「んー、ざっと800人くらいかな?」
虐待を受けた子供そんなにいるなんて…何だか悲しくなった
その一人が僕なのか…。
「まぁ、居心地はいいからね、無知の好きなように暮らせばいいさ」
秋はニッコリとした。
こんな夢みたいな場所があるなんて。
信也は雫とペチャクチャ喋っている、よくもまぁこんなに話せる人なんか知らない。
というか、僕は現実も知らないで生きていたから…。
秋は小声で
「信也は放置虐待だったんだよ、だからここに来て話せる人が出来て、時々五月蝿いけどガマンしてあげてよ」
そうか、虐待にも色々あるんだなぁ。
「あの、秋…さんはどんな風に?」
少しの沈黙があった。
「んー、俺は産まれてからずっと裏寝屋に放置されてたからね…ストレスで成長も止まったんだよ。って、俺が何で話さなきゃ…まぁ、小さいのは仕方ないけど、お前よりは年上だよ」
「そうですか…色々ありがとうございます」
「いいよいいよ、まぁちょっと休んだら施設の中歩いてみたら?どんな人がいるのか勉強になるし、道案内なら専門のガキが階段にいるから」
「専門のガキ?」
「そ。ちょっと変わってる奴だけど、話すとなかなか面白い奴だよ」
そう聞くと、秋は部屋を出ていった。
僕はとりあえずベッドに座り、状況を把握しようとしていた。
「ね」
振り向くと雫さんがいた。
「僕は目が見えないからさ、無知君どんな感じの子なのかわからないから、握手してもらってもいい?」
握手?
それで相手がわかるのかな?
言われた通り握手をすると、ニコッと雫さんは笑った。
「結構小さいんだね、何歳?」
何歳…
「えっと…わかりません…」
「あ、そうか、ごめんね…」
「…いえ、謝らないでください」
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