少年BOX

6/10
前へ
/45ページ
次へ
悲しい顔から、少し穏やかになった。 「秋君が言うように、ここは本当に天国だよ、専門のカウンセラーもいるし、聞きたいこと好きに聞いていいからね」 ニコニコしてる彼は、目は見えないけど、可愛い部類に入ると思った。 「ありがとうございます」 「いいよいいよ、多分もう少ししたら先生が来ると思うから、ちょっとここにいた方がいいかも」 「そうなんですか…でも、何で?」 「その子の重症度を確かめにね、あとはここの事と、説明だと思う…あ、来た」 「やぁ、いきなりこんなとこにいてビックリしてるだろう?ここはね…」 「あ、先生!ここの事はうちらで説明したよ!」 「信也君、本当?」 「お喋り好きな俺が黙ってる訳ないじゃん」 そう言って信也は笑った。先生も笑った気がした。 「ここはね、15階あるからね、この後はゆっくり探索してみるといい、他にも教室がたくさんあるから、覗いてみなよ」 「あの、先生…ここって何歳くらいの子供がいるんですか?」 同じ部屋に歳もバラバラの子供が入っている事について、少し気になったのだ。 「んー、下は二歳、上は二十歳くらいだね」 二十歳? 「えっと…そんなに…?」 ちょっと聞きづらかった。 「ここは一度入ったら何歳になってもいていいんだよ。大学通いながら住んでる子もいるし、新しい人生を味わいたいなら外で暮らしたっていい、本当に自由なのさ」 「なんか凄いですね…」 「まぁ、まだ君は小さい、ゆっくりゆっくり傷を癒してくれ」 では、と先生は部屋から出ていった。 「はぁ…ここって本当に凄いですね …」 でしょ?と雫さんは笑った。 すると、出ていったはずの先生が戻ってきた。 「あ、忘れてたけど、室長の言うことはなるべく聞いてくれ、じゃあね、僕はいつも10階の奥にいるからね」 そしてまた帰っていった。 「…あの、室長って?」 「あー!その説明は忘れてたわ!ここの部屋には各一人ずつ室長がいるんだよ、偉いっていうか、その人の言うことはなるべくきいた方がいいっていうか、まぁリーダーみたいな存在、ほら、目を覚ましてから、部屋に入ってきた奴いるでしょ?悪魔って言うんだけど、ぶっきらぼうだけど的確な判断をしてくれるよ」 信也はペラペラと話した。
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加