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悲しい顔から、少し穏やかになった。
「秋君が言うように、ここは本当に天国だよ、専門のカウンセラーもいるし、聞きたいこと好きに聞いていいからね」
ニコニコしてる彼は、目は見えないけど、可愛い部類に入ると思った。
「ありがとうございます」
「いいよいいよ、多分もう少ししたら先生が来ると思うから、ちょっとここにいた方がいいかも」
「そうなんですか…でも、何で?」
「その子の重症度を確かめにね、あとはここの事と、説明だと思う…あ、来た」
「やぁ、いきなりこんなとこにいてビックリしてるだろう?ここはね…」
「あ、先生!ここの事はうちらで説明したよ!」
「信也君、本当?」
「お喋り好きな俺が黙ってる訳ないじゃん」
そう言って信也は笑った。先生も笑った気がした。
「ここはね、15階あるからね、この後はゆっくり探索してみるといい、他にも教室がたくさんあるから、覗いてみなよ」
「あの、先生…ここって何歳くらいの子供がいるんですか?」
同じ部屋に歳もバラバラの子供が入っている事について、少し気になったのだ。
「んー、下は二歳、上は二十歳くらいだね」
二十歳?
「えっと…そんなに…?」
ちょっと聞きづらかった。
「ここは一度入ったら何歳になってもいていいんだよ。大学通いながら住んでる子もいるし、新しい人生を味わいたいなら外で暮らしたっていい、本当に自由なのさ」
「なんか凄いですね…」
「まぁ、まだ君は小さい、ゆっくりゆっくり傷を癒してくれ」
では、と先生は部屋から出ていった。
「はぁ…ここって本当に凄いですね
…」
でしょ?と雫さんは笑った。
すると、出ていったはずの先生が戻ってきた。
「あ、忘れてたけど、室長の言うことはなるべく聞いてくれ、じゃあね、僕はいつも10階の奥にいるからね」
そしてまた帰っていった。
「…あの、室長って?」
「あー!その説明は忘れてたわ!ここの部屋には各一人ずつ室長がいるんだよ、偉いっていうか、その人の言うことはなるべくきいた方がいいっていうか、まぁリーダーみたいな存在、ほら、目を覚ましてから、部屋に入ってきた奴いるでしょ?悪魔って言うんだけど、ぶっきらぼうだけど的確な判断をしてくれるよ」
信也はペラペラと話した。
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