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「あ、金は来月には返すから」
俺がすっかり冷めたカレーを食べながら言うと、由良は何故か面食らった顔をした。
「何だよ?」
「いや~、斎藤って見た目チャラいのに案外その辺ちゃんとしてんだと思って」
「ハァ?」
何言ってんのコイツ。
借りた金は返すって、当たり前のことだろーが。
俺はそんなにいい加減に見えるのか?
何気にショックを受けていると、由良は外人がやるような仕草で肩を竦めた。
「いや、斎藤がどうのじゃなくてさー。案外金にルーズなヤツって多いからな。それにこれはドライブの見返りだし、俺はさっき貸すともやるとも言ってないんだからこのままなぁなぁにしても別に文句言わねぇよ?」
「はぁ? 嫌に決まってんだろ。今は困ってるからしゃーねぇけど出来ればダチの間で金の貸し借りなんかしたくねーし、借りたからには利子つけて返す」
「利子?」
「お前の”趣味”に付き合ってやるだろ」
「あー、なるほど。」
納得したように頷く由良。
「以外に真面目なんだ、斎藤って」
「以外は余計だ。」
と言っても普段の俺を見てたらそう思われても仕方ない。
俺の本質を知るほどコイツとは長い付き合いでも親密な付き合いでもないし。
そもそも由良とは出身高校も学部もサークルも何一つ被らないから、まるで接点がない。
それでもあるきっかけから話す程度には仲はいい。
そのキッカケによって俺はコイツの趣味について知ったわけだが、まぁその話はおいおいしよう。
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