第1章

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高校生の時、部活動の後輩に禿げに悩むヤツがいた。 そいつとは、あまり趣旨が合わなかったが禿げの話だけは妙に合うのだ。 しかし、そいつは俺よりも大分進行していたようだった。 前髪を上げると、額がおもむろに露になるのだ。俺の二倍はあるのではないかと思われる隙間に、如何せん納得させられた。 俺なんてまだまだ大丈夫だ、と。 俺も禿げるかもしれない身だ。 だが、目の前にいる後輩は既に『かも』ではなくなっている。 その時、俺のなかで禿げに対する感情が芽生えていた。 これは、きっと「同情」だ。 『橙色太陽先輩はまだ僕に比べればまだまだじゃないですか~』 そんな後輩の禿げに俺は笑った。
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