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幼い頃、両親に連れて行ってもらった博物館。
世界で猛威を振るった魔王が勇者に退治され、世界にようやく平和が持たらされた記念として作られたその博物館に、俺は両親に駄々を捏ねてやっとの思いで連れて来てもらった。
「ほら甲斐、これが勇者様だぞ」
「わーーーー!! スゴイ!」
「甲斐が勇者様に憧れていたなんて始めて知ったわ、勇者様のどこが好きなの?」
俺のはしゃぎっぷりに両親は微笑ましく思っていてくれたそうだけど。
「ううん、僕が好きなのはこの剣!」
「「え!?」」
あの時の両親の反応は未だに忘れられない。
「だって勇者が魔王を倒せたのって、この剣のおかげでしょ? だから僕はこの剣を作った人が好き!」
両親の呆気にとられた顔、それでも俺の憧れは変わらなかった。
「皆さん入学おめでと~~、このクラスの担任を任されましたクリスカ・ルールです、よろしくおねがいしますね~♪」
(ずいぶんと緩いテンションの先生だな)
【国立伝剣学院】
勇者が使った伝説の剣、“伝剣エクリス”の製作者でもある人物が。
『この先も平和が続くのか分からない!!』
そんな一言で作られた世界で始めての鍛冶と刀工の学校。
世界中から生徒を集い、人種、国籍を問わずに誰にでも鍛冶職人を目指すことの出来る学校で、俺にとっても有難い学校だ。それに両親も俺の夢を心から応援してくれた。
「それではさっそくだけど、皆に立って自己紹介と夢を語ってもらおうかな? はいキミ!」
「え!! ランダム!?」
突然の自由さに当てられた奴は困惑しまくっているが、俺や他の生徒は笑いを殺しながらながらその光景を見ていたが。
「えっと、コンラート・ゾイゼンホーフェルです、夢は世界一の鎧を作り上げること! ヨロシク」
「ハイ皆、コンちゃんに拍手」
「コンちゃん!?」
担任のネーミングセンスの無さにクラス全員我慢できずに爆笑してしまった。
「コラコラ皆!! コンちゃんが一生懸命話しているのに笑ってはいけませんよ」
(違うよ! 皆はアナタを面白がっているんだよ!)
いきなり笑い出した生徒を叱る先生では逢ったが、イマイチずれた反応をするクリスカ先生に皆の笑いは中々冷めない。
「もお~ドンドン進めていきますからね、次は……アナタ!!」
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