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「よく来たな新入生達、私が刀工のクラスを担当する炎竪 絹咲、こっちが副担任のライル・ボーグンだ」
「ヨロシクね皆」
コンラートと別れた後、教室に入り甲斐を待ち受けていたのは、黒髪が似合う和服美人と見た目から優しさが滲み出てくる青年だった。
「早速だが君達には二人一組で組んでもらう、これから先の刀工ではパートナーが必要になるので今すぐに決めようと思う、さぁ組め!!」
「組む方法は皆に任すから、ゆっくり決めてね」
突拍子も無く始まった相手選びに、周りは何の障害も無く仲の好い者同士でドンドン組み合わせが出来上がっていくのだが。
(あぶれた……)
そもそもまだ入学してから二日目で、地方からこの学校に入学して来た甲斐にとっては仲の好い友達などいないどころか、話す相手さえ同じ部屋のコンラートただ一人。
「うむ! 意外と順調に決まっていくな、これなら次回からの課題の話も出来そうではないかライル」
「そうだね……でも、順調に行かない人も入るみたいだよ炎竪」
「なぁ!? おいお前、相手は見つかったのか」
今だ相手が見つからず、その場でウロチョロすることしか出来ないでいた甲斐は、突然の担任の声に驚き振り返るが、声を掛けられたのは。
「お前だ! お前! そこの女子、名前は何だ!」
……自分にでは無かった。
「レイゼ……レイゼ・シルファー」
「そうか、パートナーは見つかったのか」
「……いえ」
「わかった……そこのお前!!」
「はい!!」
今度はしっかりと甲斐の方を向き、声を荒げる炎竪の声にビビリながら甲斐は返事をする。
「お前もまだペアが決まっていないな、ならコイツと組め」
「え!? ちょっと――」
「ツベコベ言うな! さっさと次に進むぞ」
もはや選択の自由など無く強制的に組まされ、先程まではゆっくりで良いっと言っていたライルも、炎竪の横暴さに苦笑いしていた。
(本当に我慢が出来ないな)
「よろしく」
「……」
周りが明るく楽しそうにこれから先の課題に期待を膨らます中、甲斐はさっそくパートナーとのコミニケーションに悩まされるのだった。
「よし! 今度こそ全員相手が見つかったな、それではお前達に課題を与える、最初の課題は七月までに一本の剣、もしくは刀を打て」
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