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「分からない事があれば僕等に聞いて貰っていい、先ずは君たちが自分達だけの力で何処まで出来るかを知りたい、だからこんな課題を毎年やっているんだ」
柔らかい口調で説明する副担に皆が安堵の表情を浮かべ始める。
相談して良いのか。
聞いて良いのか。
頼って良いのか。
この教室には、自分達の力だけで何かを成し遂げようと考える者が皆無である事が露骨に分かる教室の空気に、炎竪の表情が強張り始める。
ライルはそんな炎竪の事を押さえる為か肩に手を起き笑みを向け。
「炎竪見てみなよ、今年の新入生の中にも入るよ、君が好きなタイプ」
ライルの目線の先に映っていたのは、甲斐とレイゼのコンビ。
「なぁ……いい加減に何か喋ってくれよ、課題を進めるにもアンタの意見も聞かなきゃ何も出来ないだろ」
「……」
「完全に無視ですか」
未だに会話もまともに出来ない状況のまま、これからの自分達が作る剣や刀の構想も何も練る事が出来ないまま既に追い込まれていた。
「それなら俺が勝手に決めるぞ! それが嫌なら――」
「……名前……」
「は!?」
「名前をまだ聞いていない、初めて会ったらまず自己紹介でしょ」
初めて彼女から声を掛けられ驚く甲斐だが、だったらまずお前が名乗れよ、などと思いもしたが彼女の気持ちが変わらない内に直ぐに答える。
「俺は立山 甲斐、てか同じクラスなんだから名前ぐらい分かるだろ、自己紹介が有ったの昨日だぞ!」
「興味が無かったの人間の名前なんて」
バッサリと言い切られ、あからさまに不愉快そうな表情になる甲斐だったが。
「別にアンタが俺に興味が有ろうと無かろうとどうでも良いけどさ、早く決めちまおうぜそうしないと何も話が進まないからな」
「魔剣が作りたい」
「唐突すぎるわ!!」
第三者が見たら、アイツら楽しそうだなっと思えそうな光景にも見
えるが、実際はそんな事など微塵も無く険悪な空気の中、始めての選考授業は終わるのであった。
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