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テレビはBGMがわりに、
二人掛けのソファで美琴を抱き締めるように、寛いでいた。
「美琴ちゃん、みこちゃん、みーたん、みこたん、しーちゃん。」
「しーちゃん?」
「椎名だから、しーちゃん。」
「んーー。」
今日は二人で呼び名を決めていたのだ。
いつまでも、椎名、高橋さんではせっかく恋人同士になったのに、よそよそしい。
「美琴?」
「恵?」
シンプルで名前を呼びあえば、椎名は胸に顔を埋めた。
どうやら恥ずかしかったようだ。
「みこたん。」
「めぐたん。」
どれもやはり恥ずかしいようだ。
「じゃー、家の中では、たん付けして、外では名前で呼ぶ?」
「そうですね。そうじゃないと、恥ずかしくて呼べない。」
「敬語もね。」
無意識に使っているのはわかる。美琴は初めてあった時よりもだいぶ砕けてはきたが、敬語が中々抜けない。
しかし、美琴の幸せそうにスリスリ首もとに甘えてくる姿が、愛らしかった。
どんどん距離が縮まってくるのが、わかる。
「ごめんね、仕事まだ決まらなくて。」
「私はこのままでもいいですよ?」
色々補償金やらが入り、生活に困ってはいないが、正社員の枠はとても厳しかった。
こうやって美琴の休みがあれば、思いっきり二人で休みを満喫できるが、いつまでもヒモのような生活に恵は悩んでいるのだが、美琴はまったく不満がないようだった。
「贅沢は出来ないけど、このままめぐたんが家にいてくれるのがいいな。私が稼いでくるから。」
「みこたん、私がそれじゃ嫌です。」
意思をしっかり持たなければ、楽な方に流されて、ダメ人間になってしまう!
せめて、バイトぐらい始めよう。と、心に強く誓った恵であった。
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