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別に何をしたわけでもないのに、昔から悪い噂がいつも付きまとっていた。
人の彼氏を寝とったや、不倫しているや、小学生の時から援助交際していたやら
すべてただの噂
それもすべて、自分の派手顔と親の水商売が原因
寄ってくるのは、下心丸出しの男とヤンキー下がりの女達
誰も私が緑茶と最中を食べながら、ニードルで人形を作るのが好きなんて、知らない
友達なんていなかった
でも唯一、私に何の先入観もなく話しかけてくれる人がいた
同性の1つ上の先輩
おはよう
さようなら
こんにちは
たんなる挨拶
でも、私にしてみればそれは当たり前だけど当たり前でない特別な言葉
だから、思いきって卒業式にボタンが欲しいと頼んでみた
それがあれば、これからも頑張れそうな気がしたから
先輩は少し驚いたような顔をしたが、勢いよく一番心臓に近いボタンをちぎり、そっと渡してくれた
「また、会えたらいいね。」
ふわっと優しい笑顔とその台詞は、私の心を初めて熱くさせた。
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