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  「術者に?」 「恐らく。扉を開けずに馬車に乗っていた」 「しらみ潰しに探します?」 「あの馬鹿でかい森を?冗談じゃない」 趣味の良い屋敷の一室。 先に屋敷に着いていた使いの男は、灰色の愛猫を撫でながらも険しい表情を浮かべ、突如拐われた主について思案する。 中世的な容姿に、光の加減で金色が混じるその瞳。組んだ足を組み換え、背凭れに華奢な背を預ける。 不思議な雰囲気を醸し出す男の膝で、返答を待つ二人の代わりに猫がにゃあと鳴いた。 「とにかくまあ、当主様に指示を仰ぐしかない、かな」 「そんな日和見な」 「ヨリ、僕らは昨日今日この街にやってきたばかりで土地勘も無い。無鉄砲に探すのは得策じゃないのは、君もわかるだろ?」 「でも俺なら」 「ツグミさんの言うとおりだ、ヨリ。最近話題の"神隠し"かもしんねえ訳だし、減給覚悟で」 「嫌だな。減給なんてしませんよ」  
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