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「さてと」
暫く森の中を駆けて、男はおもむろに立ち止まる。
「疲れた?」
「つ、疲れたなんてもんじゃ……」
「だろうねえ」
けらけらと笑う男を睨みながら、伽耶は風に煽られた髪を撫で付けた。
女性にしては背の高い伽耶と比べ、仮面の男はそれほど背が高くない。
黒いマントで服装は伺えず、年齢を想定するにも、子供のような微笑みを浮かべる口元と声を便りにするしかなかった。
背の高い木々が囲むその場所は人里が近いらしく、なにやら賑やかな声が時折聞こえる。
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