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そんな事を考えた時だった。
突然、馬車が大きく揺れる。
しかし道を大きく外れる事無く、馬を上手く諫めて停車する。
手綱を引いていた使いが血相を変えて振り返り、伽耶は自分に怪我はないという意を込めて微笑んで見せた。
「怪我はないんだな」
「うん、ありがとうしぃくん」
「しぃくんっていうな」
「小石を噛んだっぽいな、シノノメ」
「おう。悪いな嬢、ちょっと待ってろ。ヨリ、手伝え」
「うーい」
黒いスーツの二人が馬車から舞い降りると、馬車の後方に回りあれやこれやと言い合いを始めた。
時折聞こえる漫才のような言いあいに苦笑しながら、ひさなは長旅の疲れに身を任せ、そっと瞼を閉じる。
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