- 21 -  朔夜side

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僕はズルい あの時逃げたのは僕で、自分の気持ちを押し殺したのはすずだった。 『でもね』のあとは何を言うつもりだったのだろう? 椎名さんが僕に言った言葉が頭の中で回り続けていたんだ。 「ねぇ伊川くんは知ってるの? 久我原先生と夕凪さん、美術準備室で2人っきりでいたって噂 2人で籠もってなかなか出てこなかったって………」 椎名さんは少し躊躇いがちに、哀しそうな表情で僕にそっと打ち明けた。 あぁそういえば、恵斗から聞いたけど椎名さんは久我原先生に夢中だって言ってたっけ…… だから僕にそんな噂伝えるんだ 僕はにっこりと笑い答えた。 「噂だろ?!気にしないよ」 そう言ったくせに……… .
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