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夏休みに入り、私は体調の良い日は補習のために学校へ通うことになった。 さくちゃんは勉強と大学からの招待でテニスの強化合宿、そして気晴らしにと有川先輩の行っているカフェでアルバイトを始めた。 あの日さくちゃんの強い眼差しで見つめられた日から、私の中で封印した朝陽への想いは消えることなく私の胸を締め付けていた。 「涼ぃ 今日はオレが数学見てやるから美術準備室な」 後ろから頭をポンと叩きながら現れた朝陽にドキリとしてしまった。 「…あさ……久我原先生……」 見ると私の方を振り返り少し機嫌の悪そうな表情を浮かべる朝陽と瞳があった。 「あ、あの……」 恐る恐る声をかけた私の腕を乱暴に掴むと何も言わず歩き出した。 「い痛い…ちょ、ちょっと………」 私は引きずられるがまま朝陽について行くしかなかった。 .
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